LEICA SUMMICRON-R 35mm Ⅱ を買う話。-作例100枚ー
35mmを買おう。
1年近く前に公開した記事では35mmの画角が苦手だと話していた。あれからしばらくTamron 35-150mm F/2-2.8 Di III VXD (Model A058)を利用していたが、せっかくのズームレンズだというのに35mm付近の画角でしか撮影していなかった。そのおかげか35mmという画角のちょうど良さを知ることとなる。
何を買うか
SONY SEL35F14GM FE 35mm F1.4 GM
Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical
Carl Zeiss Distagon T* 1.4/35 ZM
他にも動画での利用を視野に入れ、7artisans 35mm T/2.0も検討していたが、こちらは所有欲が満たされないであろうことと、フレアが好みではなかったため候補から外した。今見るといい感じのクセでちょっと欲しい。
今回、これらのレンズは候補から外れたわけだが、
・GM→クセが少ない(AFは欲しいのでいつか買いたい)
・APO-LANTHAR→面白みが足りない
・Distagon→フォーカスギアをつけられない&ビネットが強すぎる
などが理由となった。でもアポランの作例凄まじい。これも欲しくなってきた。
LEICA Rレンズという選択肢
一般的にLeica RレンズはMレンズに比べ価格が安い傾向にあるものの、一部のレンズを除いて作例が極端に少ない。*1作例を漁ってレンズを吟味するには中々敷居の高いマウントのレンズだった。なお、Rレンズに手を出されるみなさまは必ず「アトリエライカ」のサイトに当たると思うが、購入の指針にはなるはず。
結論として、手に入れたレンズはLEICA Rのズミクロン35mmとなった。このレンズは1972年~1976年に発売していた初代と1977年~2009年に発売していた2代目があり、レンズ構成が異なる。初代はなんと驚きの7群9枚であり(かの有名な8枚玉より1枚多いですね)、評判がすこぶる良い。2代目は若干現代的な写り(をしているような)。問題は1stにするのか2ndにするのか。初めに検討したのは初代 9枚玉。氏家さんの記事ポストを大変参考にさせていただいた。
【マイベスト35mmレンズを紹介します】
— 氏家 Ujiie (@yasu42) 2023年8月29日
Summicron-R 35mm/f2初期型。
一言でいうと「繊細さを極めたかのようなレンズ」
製造は1970年代前半。ここ数年でとんでもなく人気(と価格)が上昇しているレンズです。
7群9枚という、開放f2にあるまじき豪華な構成が特徴。… pic.twitter.com/IA54Xdas9g
初代は大変名玉だとのコメントをちらほら見かけたが、作例が少なく十分に検討することができなかった*2ことと、個人的には若干柔らかすぎるような印象を受けた。
一方で2代目のフード組み込み式はMap cameraのサイトにある写真が作例としてニュートラルに判断しやすいもので大変参考になった。
ムービーでのRレンズ人気が高まりつつあることからか、YouTubeにも作例は多い。
結局、一番最初にInstagramで見たこの動画が忘れられず、2代目を探すこととなった。
LEIZ WETZLAR SUMMICRON-R 1:2/35
ヤフオクで2〜3ヶ月粘ったら出てきたこの子。シリアルから見て製造年は1980年。*3
フード組込式
比較的状態は良く、カビ・汚れといったものは見当たらない。極薄の曇りがあり、もっと綺麗なのを探したいが許容範囲と判断。レンズ写真を撮る際に透かして確認していたら結露を見つけてしまった。。。絶賛乾燥中だが、改善が見られなければ修理か。
レンズ情報の詳細は先に貼った脚注先を確認して欲しい。
作例の前に
撮影に使用したボディは全てα7RⅤで、マウントアダプターはRAYQUAL製のLR-SαEである。絞りは全て開放f/2である。
全ての写真はCapture One Proでトーンを調整しており、クラリティー、ストラクチャー、かすみの除去、シャープネスなどのレンズの特性が変わってしまうような適用はしていない。なお、できる限りクロップは行わない方針ではあるものの、写真によっては回転の補正を適宜かけている。そのため画角が多少変わっている点はご了承いただきたい。フィルム粒子は全ての写真で適応させている。
長崎
樽型の歪曲が強い。
青色が美しく出るレンズだと思った1枚。
小浜の夕日。
大阪
お気に入りの1枚。
淀川河川敷。多摩川との見分けがつかない。
中距離での立体感が気持ち良い。
武蔵小杉梅田
寄ると線の細い印象を受ける。
十三っこ。
朝の天王寺駅は美しかった。
東京
フレア確認のための1枚。
青い。
8番出口。
早朝の渋谷。
硬い絵でも難なくこなす。
渋谷は空を撮りがち。
オマージュ。
渋谷と恵比寿の間にある四反道跨線人道橋。
間も無く架け替え。
この位置から撮影できなくなる。
ゴーストはしっかり出る。
おそらく最短付近。
ボケにはクセがある。
三鷹の跨線人道橋
最終日。
人物も柔らかく良い雰囲気。
建物を撮ると樽型の歪曲が気になる。
逆光が入った時の立体感。
ハイライトの強い遠景は描写しきれない。
フリンジがかなり出るレンズだ。
ボケの作例。
樽は樽だが、嫌な歪み方をする。
蛍光灯の滲みが良い。(曇っているからか)
終わりに
日中、夜間、寄り、引き、とさまざまな被写体で集めたら100枚になってしまった。総括としてはすっごい良いレンズ。買ってよかった。35mmと仲良くなれた気がする。
さて、このレンズで撮っていてもっとも気になったのが青色の発色である。他のレンズと比べて明らかに彩度が高いような気がする。C1でのトーンをガッツリ弄っているので正しいことは分からないが、近いうちに比較してみたい。
一方欠点としては、樽型の歪みがかなり気になる。Lrにはレンズ補正が入っているのでAdobeユーザーの方は試してみると良いかも。純広角のパースも含め人物を寄って撮るのはお勧めできないレンズだろう。
また、マウントアダプター(ないしα7RⅤ)との相性の可能性もあるが、周辺がかなり甘く、夜景を撮れば鳥が羽ばたく。四隅が全く解像していないのは空抜けの作例を見てもらえば分かりやすいと思う。Leica純正での組み合わせだとどういう写りをするのかが気になるところ。
次はどのRレンズに行こうか……。
(続く)
参考文献
・Summicron-R 35mm f2 1st | ライカカタログ | アトリエライカ
・Summicron-R 35mm f2 2nd | ライカカタログ | アトリエライカ
・知られざるレンズを訪ねて(3)ーー「9枚玉の伝説、あるいはRマウントの至宝について」|氏家 Ujiie
・35mm f/2 Summicron-R I - Leica Wiki (English
・35mm f/2 Summicron-R II - Leica Wiki (English)
*1:その一部というのもSUMMICRON-R 50mmであり、いまだに6~7万円で手に入ることから、Rレンズの入門的なレンズになっているかと思われる。どこを見ても作例たくさん。
*2:作例にSUMMICRON-R 35mmとあっても1stか2ndかの判断をつけることができなかった。作例を作例として投稿する人はぜひバージョンも書いて欲しい。マジで。
*3:http://wiki.l-camera-forum.com/leica-wiki.en/index.php/35mm_f/2_Summicron-R_II
35mmの話。
35mmが苦手だ。
これまでレンズは基本的に50mmか28mmのどちらかで生きてきた。35mmの画角の中途半端感どうしても好きになれず経験値は少なかった。
スナップ単焦点論争においては50mm派、35mm派、28mm派の三者が熾烈な争いを繰り広げているかと思うが、自分は50mmのレンズが写真にもたらす距離感ーーある種客観的な画作りーーと、
SEL50F14Z
28mmで寄った時に出る臨場感が好きだ。
SEL28F20 2017年のフランス, パリ (近頃は28mmの使用率が低く過去写真)
iPhone X 奈良, 曽爾高原 (28mmで臨場感のある写真が手元になかったため文中の表現と齟齬があるが見逃して欲しい)
さて、いかに50mmと28mmが大好きかについてはいずれ書くとして、今回手に入れたレンズの作例を載せていきたい。あえてレンズ名は記載しないので、今回は純粋に作例だけを楽しんでもらえたらと思う。ボディはSONY α7RⅡで、全て開放F値で撮影したものである。
なお、以下の写真は全てCapture One 23でトーンを調整しているが、クラリティー、ストラクチャー、かすみの除去、シャープネスなどのレンズの特性が変わってしまうような適用はしていない。
また、歪みが強いレンズのためディストーションの補正のみかかっているが、周辺光量に関してはレンズの特性そのままである。できる限りクロップは行わない方針ではあるものの、写真によっては回転とキーストーンの補正を適宜かけている。そのため画角が多少変わっている点はご了承いただきたい。
確かにちょっと広い。50mmと違う画角に困惑する。
渋谷
かなり周辺光量が落ちるレンズだ。
新橋
レビューサイトでは逆光に弱いとあったが、個人的には気にならないレベル。
恵比寿
補正しているものの、歪みが強い。開放だが中央はかなりシャープ。
Capture Oneでがっつり色を弄ってしまうため色乗りについてはよく分からないものの、トーンはなだらかか。
川崎大師
光が入った時の描写が特に好き。
ところでこの35mm、ズームできるんですよね。(続)
この記事を書くことを念頭に作例を撮っていたので35mm縛りがキツかった。次はメリット・デメリットなどを書いていこうと思う。